人の考えはただのエゴなのか?とても考えさせられた出来事。

今回は、昔一人ぼっちで寂しく死んでいった猫の話をします。

私がまだ高校生だった時のことです。

ある日、家の庭にブサイクな猫がいました。



色は茶トラで、体の比率に対しての顔の比率があまりにも大きい

上に、いかつい人の顔を猫にしたような、まるで人のような渋い

表情の猫で、とても印象に残りました。
人面猫.jpg
こんな感じ。でもこれでも女の子でした。

遠くから見ると、当時流行っていた人面魚にソックリだったので、

名前をそのままの「人面猫(じんめんねこ)」と名付けました。

人面猫は、私のうちに来た時にはもうすでに、老猫でした。

ヨボヨボまではいかないものの、もう元気よくじゃれつくとか、

走り回るとかは、全くしない猫で、猫好きには面白味も無い猫

でしたが、私はなんだかそのブサイクなわりに愛嬌があり、人好き

な所がなんとも愛らしくて、とても好きでした。



ところが、うちの父がその猫に関しては、なんでかわからないけど

毛嫌いしていました。

うちに来ると、当てはしないけど、石をなげて脅したり、水をかけ

る振りをして追い払っていました。

私や母は「可哀想だよ。お父さん。」と何度も止めていたのですが、

「うちに居ついたら困るだろ!」と言って、いつも追っ払っていま

した。

実際に、人面猫はうちに飼われたかったのか、うちの人たちには

とても愛想がよくて、私や母はとても気に入っていました。

父が居るときには、可愛がれないので、父がいない時にコッソリと

おやつをあげたり、なでたりして母と可愛がっていました。

そのおかげで、頻繁にうちに来るようなりました。

父ももともと動物好きな為に、だんだんと可哀想になってきたのか

態度が軟化してきて、人面猫がボンヤリと庭にいても、あまり怒ら

なくなってきました。



そんな中、日増しに手に取るように元気がなくなってくる人面猫。

私や母は人面猫が心配で、父の気持ちも考えずに、ついつい父の

目の前で人面猫に優しく接してしまいました。

すると、父は今まで追っ払ってきたプライドが許さなかったのか、

その日はすごい勢いで、人面猫を追っ払ってしまいました。

「ダメだ!甘やかすと居ついてしまうぞ!」と言っていた父。

その日以降、人面猫の姿を見ることがありませんでした。

心配になった母は、あちらこちらを探していたようです。



するとある日、母からコッソリと「となりの空き地の草の中に

人面猫が動けなくなってる。」と言われました。

ボウボウに生え茂った空き地のある場所だけ、草が倒れていま

した。そこに人面猫が寝ていました。

相変わらずブサイクで、相変わらず頭だけ重たそうに横たわって

います。

私の姿に気が付くと、虫の息の中から小さく可愛らしい泣き声が

聞こえてきました。

そう、声だけはとても可愛いのです。

私が近づくと、一生懸命に顔をあげようとするのですが、すぐに

力尽きて、パタッと頭を落とします。

もう命が尽きようとしていたのです。

獣医さんにも行かせていない、野良猫だったので一体なんの病気

かはわかりません。

しかし、もう手遅れなことだけはド素人の私でもわかりました。

あと数時間で、この人面猫の呼吸が止まるであろうことは、私で

すら予想できました。

泣きながら、人面猫の前足を握り、せめて一人で逝かせないよう

に側に居てあげようと私は思いました。

しかし、私が側にいるので必死に人面猫は頭をあげようとします。

嬉しそうに、何度となく何かを言いたそうに、動こうとするのです。

そして私の頭をよぎったのは、死ぬ間際で苦しいのに、私のために

動こうして、逝けないのではないか?

だけど側に居てあげたい私の気持ちが強く、なかなか離れることが

できませんでした。

暗くなっていく中、ドンドン寒さを増して行く夜に、私も人面猫に

何か掛けるものを持ってきたい気持ちになった。

すると母がやってきて、タオルを人面猫にかけてくれた。

そして母の姿を見て、必死に頭をあげようとする人面猫に気がつい

た母は「あんたがいたら、楽になれない。家に入りなさい。」と

まさに的確なアドバイスを貰った。

私はこれが最期かもしれないと、思いながら人面猫に「また来る

からね。」と声をかけて、家に入った。

ほんの数時間離れた。

次に見に行った時には、もう息がなかった。涙が止まらなかった。

これでよかったのか、よくなかったのか、人面猫しか知るよしも

ないのはわかっているけど、私自身は最期の最期まで、出来れば

側に居てあげたかった。しかしそれすらも、人間のエゴかもしれな

いと思うと、何が正解なのかわからなかった。

ただ、一人さびしく逝ってしまった人面猫がとても不憫で、忘れる

ことができない。

たかが野良猫、されど野良猫。

こうして書いている間も、涙が止まらなくなるほど、命の重さは、

どんなに小さくても、ずっしりと重いと人面猫によって思い知らさ

れた出来事だった。


(人面猫編終了)


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