小学校時代によくある近所の凶暴犬の最期。

私が小学校の頃の話。

近所では有名な凶暴犬がいました。



いつも鉄の門でしまっている資材置き場の、入り口の奥に

常にリードで繋がれていて、門の近くまで行こうものなら、

ものすごい勢いでガウッ!ガウッ!いって、門の近くまで

走ってきて、涎を飛び散らせながら、恐ろしい形相で、威嚇

を繰り返してきます。

資材置き場はいつも雨ざらしで、犬小屋と凶暴犬がポツンと

資材と一緒に置いてあるだけで、人の姿をみかけることは、

めったにありませんでした。



私の小学校の子供たちは、みんなその場所を恐れていました。

親からも、危ないから絶対に近づいたらダメだ!絶対に

門の中に入ったり、手を入れたりしたらダメだよ。と誰も

が言っていました。

しかし、私はその犬がしかたなく、そうやって自分を凶暴

に見せているように思えて、学校帰りにその門に近づいて

は、ガウガウ言われながらも、一生懸命話しかけていました。

私はパートに出ていた母に会いに行くのに、いつもその道を

通っていました。



通るたびに話しかけていたら、だんだんとその犬の態度が

少しだけ柔らかくなってきました。

私の顔を見ると、一瞬顔をあげて「あ、またあの子だ。」と

言う顔をするようになって、すぐにはガウガウ言わなくなっ

てきました。

嬉しくなって、門に近づいて手をかけると、やっぱりガウガウ

いって、恐ろしい顔で向かって来ます。

私はやっぱり怖くなって、手を引っ込めると、なんだか犬は

ちょっとだけ「ニヤリッ」とした感じで、すぐに戻るのです。

その姿はまるで、「調子に乗んなよ。ここは俺が守ってんだ。

子供だろうが容赦しねぇぞ!」って怒られた気分でした。



しかし、やっぱりそれでもめげずに、声掛けをしていくと、

今度は私の顔を見ると、遠くで軽く尻尾を振ってくれるよう

になってきました。

そこでまた私は調子にのって、門に手をかけると、またもや

ガウガウいわれて、怖くなって手を門から離します。

そして、私が門から離れたのを確認した凶暴犬は、楽しそう

にお尻を私に向けて、ちょっとだけ尻尾を振ってくれます。

「だから、門の所には来るなって言ってんだろ!」的な感じ

で、ちょっと楽しそうに去っていきます。



そんなある日、新聞にその犬が載っていました。どうやら、

泥棒を撃退したとして、表彰されていました。

すごい!実はすごい凶暴犬だったんだ!と私はちょっとだけ

嬉しい気持ちになりました。

それからは、犬の邪魔をしないように、門に近づく事は一切

やめました。でも、たまにやっぱり声をかけたり、目を合わせ

たりしていました。



そんなある日、久しぶりに近づいて凶暴犬を見ると、なんだか

お腹の下にコブが垂れ下がっています。

「なんだろうあれ?気持ち悪いなぁ。」と思って、母に話して

みたら「たぶん、癌だね。体の外にも出ているってことは、そう

長くはもう生きられないね。」と言われました。

母が言った通り、凶暴犬はドンドン日に日に元気がなくなって、

ガウガウ言うのも、日に日に迫力が無くなって行きました。

そして、姿を見かけない事が増えて行き、私も母のパートが終わ

り、その道を通らなくなってしまいました。



私は「繋がれっぱなしできっと、飼い主もめったに見かけなかった

ので、のたれ死んだんだろう、可哀想に。」と思っていました。

ところが、もう数十年も前のことなのに、母が覚えていて、後日談

を聞く事ができたのです。

なんと母曰く、その凶暴犬の飼い主は表彰された凶暴犬を、本当に

可愛がっていて、癌だとわかった時は、必死に獣医さんに連れて行

ったけれど、結局手遅れだったとのこと。

近所でも有名だったようで、噂で聞いたそうです。

私が想像していたよりも、最期は幸せだったようで本当によかった

と数十年たった今、凶暴犬の話を知ってちょっとだけ嬉しかった話です。



↓ポチッとお願いします。

人気ブログランキング



この記事へのコメント