私が思っていた以上に、サツキにとって即売所の生活はトラウマになっていたようだった。

数日前に、実家の近所で新しく客船が入る港が開港し、イベントを行っていた。

そこに父は孫と一緒に、見に行った。

サツキを連れて。

さっそく船からは、たくさんの外国人が降りてきて、いろいろなイベントが行わ

れ、港はにぎわっていた。

サツキを連れて、散歩がてら歩いていた父と孫。

しかし人が集まって来た。

サツキの可愛さに。



サツキはもともとあまり、人懐っこい方ではなかったけど、私の一言で最近は

頑張って人間に愛想良くしてくれていた。

「サツキが愛想良くすると、人が寄ってきてくれて、お父さんとお母さんが、

嬉しくなるんだよ。そして、サツキも愛されるんだよ。だから、怖がらずに、

愛想良く、いろいろな人と接するんだよ。」と前に話したのだ。

サツキはきちんとそれを守ってくれている、ということを母から聞いていた。



案の定、サツキも最初は愛想よくふるまっていた。

しかし、次第に増える人。

だんだん怖くなってきたのか、父に抱かさってきた。

それでも体の大きい、外国人に囲まれてとうとう怖さ限界突破したのか、

サツキはおもらしをしてしまった。

父はおしっこまみれ。

あまりにも可哀想になって、父と孫は車に戻った。

私が父から聞いた話。



なんだよ。サツキ根性ないなぁって私は思っていた。

でも、母曰く「もしかしたら、即売会で売られていた時を思いだして、

怖くなったのかもしれないね。」と言っていた。

いやに、納得してしまった。

確かに私がサツキと最初に出会った、即売所は犬にとって地獄の光景

だと思った。

大勢の人に上から覗かれて、触られて、結局何も得るものがない。

ただただ見られるだけの日々。

そして、買われなければ『死』が待つ環境。



今、父や母のもとにいて、山や海を自由に走り回っている幸せな生活

が壊れる恐怖を感じたのだったら、それはおもらししても仕方なかった

のかもしれないと、私は思った。

それくらいあの環境は、サツキにとってトラウマになっていたんだと、

思ったらとても可哀想になった。



私に会うたびに、飼い主でもないのに、キラキラした目で必死に顔を、

舐めにきてくれるサツキ。

私の言う事を必死に聞こうとしてくれるサツキの、その態度にやはり

それだけの恐怖を抜け出す事ができた、感謝の気持ちが裏にあるんだと、

とても強く感じた出来事だった。



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